意拳浅談

意拳/大成拳を研究しています。翻訳は意訳です。

武術(うーしゅう)1986年3月号

孫剣雲、実父孫禄堂を語る(前編)

  • 登場する先生
    • 孫剣雲
  • 内容
    • 功夫、武徳ともに秀れた偉大な武術家の生涯

印象に残った言葉

この三体式を練習する場合、同じ姿勢を続けて足か疲れたら左右を逆にして立つ。このように足を交代しなから、体力に合わせて数十分から一〜二時間にわたって、三体式の練習をする

父の弟子たちの中でも、本当に三体式だけを三年間やり通した人はそういません。この数少ない一人に、斉公博という人がいます。彼は三年間、三体式による站樁だけをやり続けました。午前中二時間、午後に二時間です。この間ずっと立ちっぱなしです。正確な三体式の姿勢は、初めての人は三十秒もできないほど苦しいもので、一時間、二時間も続けられるというのは実にたいしたことなのです。他の人が次々と套路を習っていくのを横目で見ながら彼は三体式だけを続け、三年後に五行拳を習うと、驚くほど上達しました。下半身の功夫が完全にできていたので、その後の進歩は他の人よりずっと速かったのです(孫剣雲)

父自身も、暇さえあれば三体式の練習をやっていました。一年中立っていたようなものです。道を歩きながらでもやっていましたから(孫剣雲)

若いころから父は非常に練習熱心だったそうで、それを物語るエピソードがあります。一日中、可能な限り練習していたわけですが、それでもやはり睡眠はとらなければなりません。しかし、眠りすぎればそれだけ練習時間が減ってしまいます。当時は目覚し時計などありませんから、火のついた線香を適当な長さに折り、それを手の指に縛りつけて眠ったのです。時間が来て線香が指のところまで燃えると、熱くて目が覚め、起きてまた練習するわけです(孫剣雲)