古伝太気拳(1)
印象に残った言葉
東山がよく覚えている澤井からの教えの一つに「半拳でやれ」というものがある。しつかり握り込んでしまう「正拳」に対して、握らないことで「半拳」と表現していた
拳を完全に握り込んでしまう正拳。握力を活かして固めた拳を攻撃部位として相手に当てるのは、強い衝撃力を与えられるものの、力が入ることで手先から腕にかけての変化が難しくなったり、スピードが落ちてしまうことが懸念される
澤井健一は稽古後に門下生を相手に喫茶店で話をするのが相例だったが、その話の中には動物の動きについて話すことがあった。「熊はいかにして獲物を襲うのか」「虎はどう動くのか」という例え話を用いて指導をするの際には、「今まさにここに虎がいるのではないか?」という雰囲気を醸し出していて、話を聞いているだけで脅威を感じていた