意拳浅談

意拳/大成拳を研究しています。翻訳は意訳です。

月刊秘伝2024年2月号

”気”と"勁"

  • 登場する先生
    • 岩間統正
  • 内容

印象に残った言葉

太気拳を始めたばかりの頃は、立禅をやっていれば気という何か特別なパワーが体に宿り、神憑り的な強さが得られると期待していました」そう語る岩間師だが、ある時、澤井宗師に「立禅をやっていれば気がこもるのですか?」と率直に質問したところ、澤井宗師は「君、立ってるだけで気が出れば、誰も苦労はせんよ」と答えたという

この時の澤井先生の言葉は、今でもありありと思い出せます。ただ単に立禅をやっていても気は出ないと、はっきり断言されたわけです(岩間統正)

(無意識に跳差手を澤井先生に使って)それこそ、組手が終わった後に撮影していた動画を見て初めて、自らの動きを認識したほどに。そして、この組手を機に澤井宗師は「岩間君は気が出た」と他の門弟たちに語ったという

澤井先生との組手では、先生の行動と私の行動、それが最もタイムリーに重なる、まさにこの瞬間でなければ効かないというタイミングで、私の技が実行された。だから、先生を転ばせることができたのです。謝老師との試合でも、私自身、全く頭の中で想定していなかった行動が瞬間的に発現していました。どちらにも共通するのは、実戦の場で、最も適切な行動を、最も良いタイミングで、無意識のうちに実行するということ。これこそが気であると、この二つの体験を経て初めて理解できたのです(岩間統正)

人間には、目には見えない気の流れがあります。その流れをスムーズにするのが立禅であり、実戦における気の疾りを促すものです。つまり立禅の効能とは、気をより発現しやすくするための補助作用なのです。立禅の最も重要なポイントは無心で立つこと。時間は大体二十分前後で充分です。さらに自然の中で、大木の前で立つことで気持ちを静めれば、立禅をより効果的に行えます(岩間統正)

気はバランスのとれた総合的な稽古と、真剣勝負の経験を通じて創り上げられるものです(岩間統正)