意拳浅談

意拳/大成拳を研究しています。翻訳は意訳です。

拳法練習(『大成拳功法述要』より)

1.劈拳

この拳の形象は刀斧で物を断ち割る(=劈)ようであり、故に劈拳と名付けられたが、実際の練習では掌を拳の代わりに使う。練習する際には左式を例にとり、両足は丁八歩を形成し、左脚を前にして、身形は中正である。両肩及び胸腹を放松させ、頭直項竪にし、下顎は収める。両手を持ち上げ、頭上を超えて高く持ち上げる。両手の掌心は互いに向かい合い、掌心の距離は頭よりやや狭く、十指を広げる。左右の両手は互いに連携して、上から下へ、内から外へ、両掌は同時に弧形の下劈動作を行う。身形はそれに伴い斜面となり、左肩が前に出る。この時、左掌が前に、右掌が後ろにあり、前後の距離は約二十センチメートルで、劈の際、両掌はゆっくりと動く。両掌が自身の腹部と平行になるまで打ち落としたら(=劈)、両手をゆっくりと持ち上げ、右肩を前にして、同様の下劈動作を行う。これを繰り返し練習する。この拳を練習する際には、前手が常に自身の上半身の中線部分を守ることに注意し、両掌の下劈の際には、刀で断ち割り、斧で叩き切るような搂挂の力が必要である。右式の練習要領は同じである(図九十四~九十六を参照)。

2.崩拳

この拳の形象は、実践時には矢が物を貫通するようであり、拳が敵の身体に触れると、力が背中を透過して散る意があり、故に崩拳と名付けられている。引き続き左式を例にすると、下肢の姿勢は劈拳を練習する時と同じである。両拳の拳眼は上向きで、左拳は前にあり、自身の胸窩を守り、右拳は自身の小腹を守る。左肩は前にある。右手は左拳の下から前方へ直線的に打ち出し、左拳はそれに伴い撤回し小腹を守る。右肩は前になる。その後、左拳は右拳の下から前方へ直線的に打ち出し、右拳はそれに伴い撤回し小腹を守る。左肩は前になる。このように反復して練習する。この拳を練習する際には、肩で手を促して前方に打ち出し、小腕はわずかに曲がっており、動作もゆっくりとすべきである。右脚が前にある時の要領はこれと完全に同じである。(図九十七~一〇一を参照)。

3.鑽拳

この拳の形象は、実戦でに使うときは海中の巨大な波が巻き上がるようで、海上の物を空中に投げ上げる勢があり、拳峰が上向きであるため、鑽拳と名付けられている。左式の場合、下肢の姿勢は崩拳を練習するときと完全に同じである。練習時には小腕はわずかに曲げられ、約120度の角度である。左拳は前にあり、拳心は内向き、右拳は自身の下顎を守り、拳心は外向きである。両手をこのように反復して練習する。この拳を練習する際には、沈肩墜肘が求められ、肩と手の動作は協調して一致している必要がある。前手と自身の頭部との距離はあまり遠くてはならず、自身の足尖を超えてはならない。そうでないと、形は破体し、力が出尖して、重心が平衡を失う。右足が前にある時、その姿勢と練法は左式と同じである。(図一〇二~一〇六を参照)。

4.炮拳

この拳の形象は、砲弾が砲塔から突出するようで、その力は猛烈であるため、炮拳と名付けられている。両脚は平行に立ち、左右に分かれて、肩幅と同じ幅である。左拳は直線に伸ばし、自身の顔面を守り、拳心は下向きである。右拳は自身の下顎を守り、拳心は内向きである。次に左拳を引き戻し、自身の下顎を守り、拳心は内向きである。右拳は直線に前方へ打ち出し、拳心は下向きで、身形はわずかに左に偏る。次に右拳を引き戻し、自己の下顎を守り、拳心は内向きで、左拳は直線に前方へ打ち出し、身形はわずかに右に偏る。このように反復して練習する。この拳を練習する際には、下顎を引き戻し、頭を上に突っぱり(=頂)、同時に腰と胯の力量を使って両拳を打ち出すことに注意する。(図一〇七~一〇八を参照)

5.横拳

この拳の形象は、竜巻が枯れ葉を掃き払うようで、迅速かつ猛烈であるため、横拳と名付けられている。その姿勢は両脚が平行に立ち、左右に分かれ、肩幅と同じ幅である。左小腕はわずかに曲がっており、左拳は前にあり、拳心は上向きで、自身の胸窩と平行であり、自己の胸窩に向けられている。右拳は自己の小腹部分に貼り付けられ、拳心は下向きである。次に右拳が左小腕の下から、左から右へ弧形の動きを行い、右小腕はわずかに曲がり、右拳は伸びて自己の胸窩と平行であり、自己の胸窩に向けられている。左拳は右小腕の下から、右から左へ弧形の動きを行い、左腕はわずかに曲がり、左拳は伸びて自己の胸窩と平行であり、拳心は上向きである。このように反復して練習する。この拳を練習する際には、二つの小腕が二つの拳の動きと協調し、横掃の力が必要である。(図一〇九~一一三を参照)

6.圏拳

両脚は平行に立ち、両腿はわずかに曲がっており、身形は中正で、両肩は放松しており、頭直項竪である。左手は半握拳の状態で、肘で小腕を動かし、外から内へ平行に弧形の動きを行う。慣性を利用して拳を自身の中線を超えて、自然に回収する。次に右拳で同様の動きを行い、このように反復して練習する。この拳はまた、圏錘とも呼ばれる。(図一一四~一一五を参照)

7.裁拳

下半身の姿勢は劈拳と同じで、左拳で自己の顔を守り、右肘を吊り上げる。右肩で右肘を促し、右肘で右拳を動かし、下から上に持ち上げてから下へ弧形の動きを行う。拳眼は外向き、拳心は右向きである。右拳が自己の小腹と平行になったら、拳を元の位置に戻す。右足が前にある時は、左手で拳の練習を行い、要領は左式と同じである。この拳はまた、栽錘とも呼ばれる。(図一一六~一二〇を参照)。

王選傑、張礼義、万純鋅、洪正華編著『大成拳功法述要』雲南科技出版社