意拳浅談

意拳/大成拳を研究しています。翻訳は意訳です。

于永年先生の著書『站樁進階:第一随意運動、第二随意運動』

第一随意運動

第一随意運動は凡そ現実的で、具体的信号、即ち第一信号系統を通して、直接各種感覚器官に作用する。工作筋に必然的、受動的な交互収縮運動または単独収縮運動を生じさせ、関節の角度を変化させ、それにより四肢の位置移動を引き起こし、循環、呼吸、代謝機能を変化させ、一定の程度に達した後、脈拍が安静時より増加する。これを第一随意運動と呼ぶ。第一随意運動は動物と人類に共通する働く筋肉の随意運動であり、先天的に遺伝して誰でもできる随意運動である。

例えば、歩行、ランニング、体操、ウェイトリフティング、各種球技、一般的な武術の套路動作などは、すべてこの類型に属する。身体がこれらの工作筋肉の位置移動運動を行う過程で、その速度と力量がどのように変化しようと、その運動体系は不変である。したがって、工作筋肉の収縮運動は第一随意運動、即ち単純な位置移動運動である。単純な位置移動運動は、工作筋を鍛えて体力を増強する体育運動である。

これを式に表すと、以下である。

(速度+力量)×時間=位置移動運動

逆に、各関節の角度を変える必要がなく、意念活動(思考活動)を変えるだけで運動体系の変化を引き起こせるものは、休息筋の収縮運動に属する。休息筋の収縮運動は第二随意運動、即ち位置静止運動である。位置静止運動は角度が変わらず、意念が変わり(思考が変わり)、運動体系も変わる。したがって、位置静止運動は休息筋を鍛えて体育知性を増強する運動である。

これを式に表すと、以下である。

(角度+意念)×時間=位静運動

第二随意運動

四肢が各関節の角度を変えずに、外見上位置移動が生じない状態を保っているとき、この姿勢を維持するために本来収縮すべき工作筋が一定の単独収縮運動(第一随意運動)を生じさせるほかに、言語、文字または思考活動、即ち第二信号系統の作用を通して、本来収縮する必要のない休息筋にも一定の収縮運動を動員することができ、つまり休息筋と工作筋肉に同時収縮運動を生じさせ、それにより代謝機能と脈拍をさらに増加させるものを、第二随意運動と呼ぶ。

第二随意運動は、大脳皮質の高次神経系統の能動的、自由な、高度な興奮作用によって引き起こされる休息筋の収縮運動である。それは休息筋の訓練を通じて中枢神経系統に新しい運動体系を確立し、人体の潜在能力を開発し、生体力学の知識を増やす体育運動である。それは後天的な努力の学習を経てはじめて習得でき、第一随意運動とは本質的に異なる。

站樁の時、単純にある姿勢を保ち、緊松動作の意念活動を加えずに脈拍が増加するのは、工作筋が自身の重力変化に対して抵抗力を生じさせ、収縮運動を引き起こすためであり、第一随意運動に属する。

同じ姿勢を保った状態で、緊松動作の意念活動を加えたことにより、休息筋も収縮運動を生じさせ、脈拍がさらに増加するものは、第二随意運動に属する。つまり、站樁時には四肢の各関節の角度は変わらず、意念活動(思考活動)を変えるだけで、運動体系の変化を引き起こすことができるのである。したがって、站樁運動は体力を増強する(第一随意運動)と同時に知力も増強する(第二随意運動)、体育と知育が結合した運動なのである。