意拳浅談

意拳/大成拳を研究しています。翻訳は意訳です。

武術(うーしゅう)1998年春号

大成拳站樁功 爆発力を高める鬆緊活動訓練法

  • 登場する先生
    • 于永年
  • 内容
    • 手の鍛錬は脚の鍛錬でもある
    • 下肢の鬆緊活動
    • 脛の鬆緊活動
      • 単腿鬆緊法
      • 双腿鬆緊法
      • 交代鬆緊法
      • 鬆緊の速度
        • 快速鬆緊法
        •  緩慢鬆緊法
        • 持久鬆緊法
    • 足の裏の鬆緊訓練法
      • 被動性運動
      • 主導性運動
        • 足の裏の作用
        • 不動の動の脚掌
        • 跑歩活動
        • 跳躍活動
        • 撑挟活動
        • 滑錯活動
        • 蹬蹉活動
        • 抽抜活動
        • 脚動歌訣

印象に残った言葉

よって、站樁練功の時は下肢を訓練すれば、伝統的な上肢の訓練よりも大きな効果を得ることができる。すなわち、下から上へ一歩ずつ訓練していくことは、上から下へ訓練していくことよりも効果が著しいのである。ここでいう「上」とは上肢、「下」とは下肢の脚と腿を指している

我々は運動の過程において、力を下肢に集中するよう注意し、脚、脛、腿、臀部、腰、胸、背、肩、頸、頭、肘、手という順序に従って下から上へ一段ずつ鍛錬するという方法を採るが、これを下から上への鍛錬法という

一般人は、ただ速い速度で力を加える「動」の方面しか知らない。それらは例えば、「馬が走る」「鳥が飛ぶ」という類で、上肢と下肢の関節が絶えず位置を移動させる命を縮めるような運動であり、「独立不改」でもとの位置に立って動かず、上下の肢体の各関節に位置の移動をさせることなく、ただ角度に意念の変化を加える「静」の養生運動は、欠けているか、あるいは全く知らずにいる

このような訓練を行う際には、必ず、高度に精神を集中させ、意念を用いなくてはならない。つまり、大脳で想い、指揮し、リラックスしている休息状態の筋肉に、緊張したり放鬆したりする収束運動を起こさせ、それによって、大脳皮質と局部の筋肉の間に新しい条件反射を作り出し、あわせて、次第に、ひとたび触れれば爆発する自動化された運動に変えていくのである

一般の人は、練習を始めたばかりでは、十回から二十回で力が入らなくなり、局部の筋肉も意のままにならなくなる。毎日怠ることなく站樁を練り続けていけば、次第に五十回から六十回できるようになる。体の丈夫な人は毎日百〜二百回、はなはだしくは四百回から五百回、さらには千回になっても疲れることがない

站樁練功の時、一つの姿勢をとるが、その時、活動筋はその練功の姿勢が変わらないよう維持するために、かならず、絶えず収縮運動を行わなくてはならない。十から二十分たつと、手で触っても、あるいは目で見ても、大腿部の筋肉に、波のような、周波数の高い、速度の速い、絶え間なく起伏する収縮運動が生じているのを知ることができる

足の裏の筋、腱、靭帯は小さいが、全身の重量を支えており、身体がまっすぐバランスを保つ責任は重大である。その鬆緊活動の範囲は小さいが、全身に影響を与え、天地を動かす働きはもっとも強い

走ったり跳んだりしようとする原因だけを求め、走ったり跳んだりという結果を求めないという鬆緊活動を生み出させるのである

熟練すると下から上へ次第に全身のそれぞれの肢体につなげていき、骨肉分離、脱骨鬆緊の境地になり、上下連接し、筋肉は一つのようになり、体全体が鬆緊し、ひとたび触れれば即座に爆発し、爆発力が絶え間なく続く随意鬆緊の段階に到達する