1986年8月18日午前
敖先生は站樁、横竪撞、巨風卷樹の運用について講義した。自身が一本の大木であり、四周が本身に及ぼす引力を体得する。本身を中心とし、先ず両臂を見つけ、再び整体無処不争を見つける。脚上の争力を強化し、前膝は前に頂き、後胯は斜後に支える。後と前膝を相反する方向に指させる(争拧勁である)。
1986年8月21日午後
敖先生の家へ行った。敖先生は推手摸点、作力未触を講義した。即ち相手と推手する時、相手が力を出そうとして出していない時に変化発力する。力量未触発力。
1986年10月7日
天津の胡慎言老先生が邯鄲に来た。胡先生は私の師である敖先生の紹介で来た。彼と私の先生は師兄弟である。この数日間、胡先生は我々に先輩がどのように意拳を練習したかを講義した。また彼の意拳の体得を講義した。
站樁は精神と意念を重視する。
一、歩行:往々にして半歩進むか半歩退く。平時の摩擦歩の練習は腿と脚の試力、整身の協調を練習する。基礎ができた後は必ず霊を練習しなければならない。歩は大きすぎてはならない。往々にして半歩進むと半歩退くの間である。小歩の練習を講義し、神、意、力の協調均整を求める。試す各力は大きすぎてはならない。
二、試力:站樁では踵の起落は実であってはならない。技撃樁を習う時、両手を上げて前方に大球があると仮定し、身手で押さえて(=按)一触即発を体得し、動作は必ず小さく、整身の力を用いる。一発即止、一止再発、断続してはならない。松緊と摩擦勁の練習は、一本の大木を見つけ、拳や掌で大木に向かい、身体で前後、左右の松緊を体得する。どのように動いても、拳は始終木に向かって発する。脚と頭の配合争勁(二争)に注意し、頸根は竪起し、頭は前頂の意を持つ。動作が大きくなれば散り、停止すれば固まり、手は空出せず、意は空回せず、松緊緊松、進手進腿は進身であり、不変をもって万変に応じ、相手の点を押さえ、摩擦発力を体得できる。
三、推手:注意すべき問題:身体は相手の身体に向かって行き、手だけで手を推すのではなく人を推す。相手と搭手する時、相手がどのように変化しても、手は始終相手の顔に向かって推す(即ち中線)。推手時は決して頂勁してはならない。平時は筋抖力を練習でき、推手の動作は小さく、回卷発力し、弧線内卷する。更に一つは、発力と反発力である。相手が私に発力する時、私はまず松になった後、手や臂で相手の中線に向かって発力する。松の時は力が大きすぎてはならず、肌肉を少し松にし、すぐに反撃する。推手で人を抛る時も往々にして半歩進むのとか半歩退くのと角度の変化である。推手は站樁と試力の変化であり、重要なのは人を推すことである。力量と打と発は平時練習するサンドバック打ちと同じで、拳を空発せず、意を空回しない。相手をサンドバッグと見なし、随意に変化と発力をし、時に左右する。推手時は特に角度と歩法の配合、間架の保持を多く体得する。
四、発力:
発力の練習は
1. 引進放空
2. 接触用摩擦発力。手臂は多く変化せず、身体で相手の後を指す
3. 別空で栽拳発力
4. 発力と反発力の運用
5. 前歩做後歩発力
6. 悠蕩発力。相手がどこに触れても発力でき、点にはばねの意がないところがない
五、技撃:
1. 距離の程度の把握
2. 方向
3. 角度の変化と矛盾、対立と統一
実戦時、歩は永遠に定位せず、身体が腿を動かし、合適と不合適は全て角度の変化にある。平時の站樁では、腿と地が争力を生じると想定する。それは力を用いて上抜して二争力を生じる。頸を竪起し、頂心は前頂する。頭と脚が上に争い、「無処不争」(身体上の大小関節指もまた同様)である。相互に二争力を生じ統一を建立し、松と緊は分けて論じることはできない。松でありながら緊があり、松緊緊松は互いに用を為す。動中の角度変化を多く体得し、相手との実戦では必ず手狠心狠でなければならない。松緊上歩の練習時は鶏腿蛇腰で、ゆっくりと脚の蹬勁を体得しなければならない。動く時は頭、手、脚は必ず合わなければならない。意は身体で相手を撞撃しようと想う。受けは不変をもって万変に応じる。推手であれ散手であれ、必ず力量の方向を改変し頂勁せず、永遠に定位しない。歩は键で、一度止まれば双重となり、手の変化を摸勁しても大きくなれば散じる。故に平時の練習は身動が手動脚動を帯動することを体得し、整体運動であり、一動無不動である。また進手、進腿は進身であり、手は実戦中どのように変化しても始終相手の中線(顔)を指し、歩は相手の腿の両側で見つけてはならず、歩も中線を離れてはならない。進手時は相手と頂勁せず、軽くあるべきである。接触時は角度を変えて発力する。実戦中、胡先生は次のように強調した、。量と打は散ってはならず、歩は始終相手の中線(顔)を踏み、どのように変化しても、一つの手は総て相手の中線を指し、間架を保証する。
胡先生は私の家に三日間泊まり、汪躍、郭士興、揭石庄も胡先生と推手をした。推手中の変化発力、抛人を体得し、彼らの身で試してみた。胡先生は推手中の換点が非常に良く、平時でも一度搭手すれば進歩するという習慣を養った。
胡先生は邯鄲に10日間滞在し、7日に来て、16日午前308列車で天津に戻った。
楊保群、謝永広主編『邯郸意拳』北京国書出版社