意拳浅談

意拳/大成拳を研究しています。翻訳は意訳です。

王建民先生の著書『大成拳重要技撃原则 守中用中、取中入中』

「守中用中」と「取中入中」は大成拳の重要な技撃原則であり、王薌齋の技撃理論の重要な構成部分である。

中線とは、人体の中心軸線を指し、おおよそ頭頂の百会穴から会陰穴に至り、地面に延伸する垂直位置にある。武術の訓練及び実戦中、中線は常に中正不偏を保持しなければならない(たとえ形体がわずかに偏っても斜中寓正で応じる)。中線を中正不偏に保持すれば、身体は中正安舒で、八方を支撑する感覚があり、動作中にも身体の平衡を保つのに役立つ。

守中とは、自分の中線を敵方に侵されないように守ることである。

用中とは、自分の中線を用いて敵方を攻撃することである。

取中とは、敵方の中線を攻撃目標として選ぶことである。

入中とは、歩で敵方の中線を越え、敵方の中線を攻撃することである。

为何要守中(なぜ守中なのか)

中線は脳神経の所在地であり、脳神経は全身を動かす指揮系統であるからだ。そのため、中線を守れば、指揮系統が常に清醒を保持することができる。さらに、中線は全身の重心がある場所であり、中線を守れば、身体の平衡を保持することができる。

また、中線は力の発動基地であり、中線が打撃を受けると、人体は正常に動作や発力ができなくなる。

为何要用中(なぜ用中なのか)

中線は力の発動基地であり、同時に力量が最も集結しやすい場所であるため、一瞬にして強力な攻撃力を形成できる。中線で発力しなければ、力量は局部的に発せられることになり、その効果は確実に大幅に減少する(大成拳は整体発力を重んじ、局部発力は許されない。整体発力の特徴は中線発力である。一部の拳種は局部発力を許可するが、大成拳は異なり、いかなる時も必ず整体発力が求められる)。

为何要取中(なぜ取中なのか)

中線は全身を動かす統帥部であり、また全身の重心がある場所であるため、敵方を攻撃する際にその中線を攻撃目標とするのは、敵方を根本から打ち崩すためである。上述の通り、中線は人体の最も強力な部分であるが、同時に最も脆弱な部分でもある。例えば戦場の指揮部は軍隊の中枢神経であり、火薬庫は弾薬が集中する場所である。指揮部や火薬庫が破壊されると、軍隊全体が機能不全に陥る。したがって、中線の失守は戦闘力の喪失を意味する。敵方の中線を攻撃目標とする意義は明白である。

为何要入中(なぜ入中なのか)

入中の意味は二つある。

一つは敵方の中線上の各重要点、例えば印堂、眼、鼻、口、下顎、咽喉、頸項、耳門、心窩、肋骨、胸腹、股部などを打撃し、力を透過させること、いわゆる力透敌背である。

もう一つは可能な限り、足で敵方の中線に踏み入れたり、越えたりし、貼身で打撃を行うことである。貼身打撃の強度は遠距離打撃よりもはるかに大きい。特に放法を用いて敵方を攻撃する際、敵方の中線に踏み入れたり、越えたりできなければ、真の「放」を形成することは不可能で、単なる押し合いになる。

如何守中(いかに守中するか)

一つ目は頭を直にし、身体を正とすることである。頸項を直竪させ、下顎をわずかに収め、頭部を端正にする。頭頂の百会穴から会陰穴までを直線にし、地面に対して垂直にすることで、上半身を端正にし、頭と身体を正にして、自然と中線を失わない。

二つ目は、側面に閃いて移動し、敵方の攻撃を避けることである。敵方に打たれ、特に重い打撃を受けると、自身の中線はその機能を失う。したがって、身をかわして敵方の攻撃を避けることは、中線を守る有効な手段である。

三つ目は、一度打撃を受けたら、速やかに中線の合理的な形態を回復することである。技撃は激しい対抗活動であり、敵方を打つか、敵方に打たれるかは交替で起こる。重要なのは、敵方に打たれて中線の形態が破壊された後、迅速に反応し、直ちに中線の合理的な形態を回復することである。さもなければ、敵方に機会を掴まれ、連続攻撃を受ける可能性があり、敗北することになる。

如何用中(いかに用中するか)

全身の力量を中線部位に集め、そこから拳、掌、頭、肘、膝、足などの部分を通して発力する。このような力は整体力である。発力時の動作は中線の有効範囲内にあるべきである。例えば敵方の頭頂を劈拳で打つ場合、劈拳の落下路線(単劈でも双劈でも)は、自身の印堂、鼻先、下顎、任脈の軌跡上にあるべきである。崩拳で発力する場合は、鼻先に向かっている方向を指すべきである。もし自身の中線から発力が逸れると、その効果は大幅に減少する。

如何取中(いかに取中するか)

自測の方法によって、敵方の中線位置を容易に特定できる。もちろん、それは敵方の身体の百会穴から会陰穴に至り、地面に延伸する垂直線上にある。しかし、双方が大抵運動の状態にあり、中線は絶えず変動しているため、先に敵方の中線上の点を取るのは容易ではない。そこで、以下の進撃原則を掌握する必要がある。

如何入中(いかに入中するか)

敵方の中線位置が絶えず変動しており、その中線上の点を攻撃するのが難しいのであれば、一つの原則を掌握する必要がある。それは、自分が敵方の頭を打つか、胸腹を打つか、あるいは腕を打つかを考えず、ただ中線に激しく攻撃を加えることである。それにより良い効果を得ることができる。敵方の中線を越えるか、その懐に踏み入ることは、実際には中門を踏み、進歩して位置を奪うことを意味する。歩によって敵方の立っている位置に足を踏み入れ、相手の位置を奪えば、相手は必然的につまずくことになる。打法を組み合わせれば、敵方は必然的に有力な打撃を受けるだろう。

劉進、李軍平編著『大成拳精粋文集』伝統文化出版杜より