日欧レジェンド対談(前編)
印象に残った言葉
動きが止まってしまってはいけない。「やってみて、できた」では意味がない。澤井先生は「見るな、待つな」と言われていました(ヤン・カレンバッハ)
(澤井)先生は小さかったですが、力があり、しかも柔らかい感じでしたね。中に入ろうとすると、顔面の当たるギリギリに非常に鋭いパンチを出され「ああ、いま当たったんだ」と分かりました。逆に先生はスルスルと中に入ってきて、こちらのパンチはスルッとかわしてしまう(ヤン・カレンバッハ)
実戦ではそういう"打ち合い“というのはないんだよ。一発で勝負が決まる。一発で充分なんだよ。澤井先生にはそういう鋭さがあった(島田道男)
そう、先生は鋭かった。パンチも技術も全てが鋭く"偶然のパンチ“といったものはありませんでしたね。つねに動き回って打つというのではなく、必要な瞬間に打つ。お互い"打ち合う"という考え方ではなかった。そうした互いに少しのリスクを分け合うのはゲームの考え方です。澤井先生の動きはそうしたものではありません。そしてフットワーク、パンチなど、全ての面で私より優れていました(ヤン・カレンバッハ)
仮に私が先生を掴むことが出来たとしても、澤井先生は負けることはありません。なぜなら先生は常に自分をコントロールしていたからです。それに比べ私は若く、自分をコントロール出来ていなかった。単純に力だけを比べれば私の方が上だったかも知れないが、それは問題ではない(ヤン・カレンバッハ)
また力にしても、それまで私達が知っていた力やスピードではないものがあることを知ったのです。先生は我々が知っていた力とは違うものを使っていました。そして動きは、我々の予測できない"いると思ったところへいない"押し引きのできない動きでした。それは鋭いのですが、スピードが速いというのではなく、なにか捕らえどころのない動きでした(マーシャル・マクドナルド)
動きの次元が違うんですね、澤井先生は。ハッとした時にはもうそこに入れられている。だけどその過程は見えない。いや、見えてはいても動けない、そういうものでしたね(島田道男)