意拳浅談

意拳/大成拳を研究しています。翻訳は意訳です。

格闘Kマガジン2001年2月号

20世紀の武人 最強の十人

  • 登場する先生
    • 佐藤嘉道
  • 内容
    • 佐藤嘉道氏に聞く澤井健一先生の強さと思想

印象に残った言葉

また、王樹金のお弟子さんが横浜の暴力団ともめた時、(澤井)先生が一人で話をつけにいった。その時、相手が先生にかみついてきたので、腕を引きつつ掌底も同時に出し、一瞬でアゴをくだいた。こんな技は練習してできないからね。その場で無意識が反応してしまうんだ(佐藤嘉道)

それと、何といってもカレンバッハとの戦いだね。当時、極真の猛者たちが皆なやられちゃったんだ。そのカレンバッハと、当時64歳だったと思う。澤井先生が組み手をやったんだよ、全く勝負にならなかった。大人と子供だよ。カレンバッハは半身からの前けりと裏拳が得意だったんだけど、前蹴りを出した時には、先生はもうカレンバッハの腕の下から背刀のような回し打ちをして、さらに一気に後ろへ飛び下がるようにして、柔道5段の相手を瞬間的に地面にたたきつけた。普通くっ付いたら、そこから組み技に行くんだけど、先生は引いて倒したんだ。その後何度やっても先生には軽くあしらわれ、カレンバッハは相当ショックを受けていた。こんな完ぷなきまでにやられたのは初めてだと言ってたよ。私たちも先生の動きが不思議で、なぜあそこで引けたんですか? と聞くと、ワシにもわからん、体が勝手にやったんだよ、と言う(佐藤嘉道)

先生のいう気の力は自分の体のエネルギーを一点に瞬間的に集中させる力ですね。同時に、神経の速さです、私もまあ運動神経は良い方だと思うんですが、先生の動きの早さにはついていけない。先生は筋肉を鍛えても神経を早くしないとダメだとおっしゃる。それには立禅をしろと。立禅をしてると、確かに耳の神経、目の神経も異常に発達する。神経を強く、早くすれば動きも早くなると言い、先生はそれを実証させていたんです(佐藤嘉道)

(立禅では)一点を凝視してはダメだ。3メートル位先の地面を見る。長くやっていると体が痛くなるのはあたり前だ。痛くなったら痛いままでいい(澤井健一

5分でも集中できる時もあれば長くやってもダメな時もある。長さでなく、集中できるかどうかが問題なんだ(澤井健一

(這は)できるだけゆっくりやって、これ以上もたないというところで少し動く。動いているのがわからないくらいゆっくりな方がいい(澤井健一

(揺は)腰や体は大きく動かさないで、手の動きだけであるが、その手の動きは腹や体からの力を伝えて動くのである。全身を使いたいのを手だけで止め、小さく行うのである(澤井健一

なぜ、「澤井先生はそんな動きができるんですか?」と佐藤師範が聞くと、「体が勝手に動くだけだ」と言ったそうだ。しかし、その後に、君らの動きは、例えば、一挙動で遠くを突こうとする。だから力の方向が単純で相手に崩されてしまうのだと言われ、「私ならば、同じ距離を三歩で動く」と言われたそうだ。この三歩は小きざみにダンダンダンと言う感じで、しかもジグザグに動く。攻撃も左右で三発、この間に相手が打ってきたら、即左右にかわしつつ前へ出ていくことができるのだ(澤井健一