意拳浅談

意拳/大成拳を研究しています。翻訳は意訳です。

武術(うーしゅう)1999年春号

意拳 精緻精妙なる見えざる螺旋の力

  • 登場する先生

  • 内容

    • 意拳の螺旋認識
    • 立禅による螺旋イメージ
    • 螺旋のパラドックス
    • 実戦におけ螺旋
    • 伝承による象形螺旋功

印象に残った言葉

意拳はあまり表面的には螺旋は見えないと思います。相手の接触したときにそこに螺旋が発生するんです。つまりこういうことです。相手の力がこう来たとします。それを受けてこの接触した部分に相手の力が点としてぶつかっているわけですが、それを支点として斜面を作り、相手の力の方向をずらします。この斜面を作る動きが螺旋であり、ある意味では螺旋は斜面の連続です。そしてずらした相手の力を斜面をつないでいって相手の力を殺した状態で攻撃に転じるわけですね、この方向を変えるときに螺旋の動きは大きくなります

腕で相手の力を聴きながら、絶えず動作は腰を根節に全身の統一した力で変化させるんです。意拳の特徴であるこの動作は『往外撑開・往内裹』といって、外に広がる力と内側に捻る力をミックスさせた状態で、その中間点で止まっている形なんですね

これは当然腕だけじゃなくて、両足もそうですね。腿もこう内側へ捻れば膝を開く、膝下はまた開いて足は外側へという螺旋ですね。腰も開きます。意拳の場合は肩胛骨もかなり開きますから胸の開合もこんな感じで、まあ収縮にも螺旋を伴うものなんですね

最終的にはそうやって体全部に縄がまかれていて、腰の部分を中心に上下左右前後にギリギリと捻るようにするかたちで体を一つにしていくんですね

どうも螺旋というと力を順々に伝えていくというイメージがあって、それだと時間がかかるような気になるんですが、全身同時に動きだし同時に止まるのです。だから打たれた相手は、車がぶつかってくるような感じの衝撃を受けるのだと思います

そうはいっても人間の体には関節がありますからどうしても吸収されるんですが、それを補うために争力を使うんですね。争力で内部から爆発させるようにして加速度をつけ、吸収されないようにして威力を大きくするんです

(澤井先生のエピソードを紹介して)王老師に引きくずれされた瞬間に頭に巻いたタオルが回転して飛んでいった

(王薌齋先生の言葉を紹介して)大きな圏は小さな圏に及ばず、小さな圏は見えない圏に及ばず、見えない圏は全身の移動に及ばず、ただし螺旋は無限である