意拳浅談

意拳/大成拳を研究しています。翻訳は意訳です。

力的運用(5)(『意拳大師王斌魁講拳語録』より)

80、拳を練習する際には闘争心が必要で、決闘の精神、獅子や老虎の精神を要する。

81、力がないと言われるのであれば、それは樁功から始めるべきであり、樁功の中から得られるものである。静かな時には自身の力量を求め、動いている時には外部の力量を体感する。試力では内外が結合しているか、精神が物質に達しているか、協調しているかを体感することを求める。小動の試力から大動の発力に至るまで、どれだけの力があるか? 発力は自己の力量の大きさを試すことである。まずは一面の発力から練習し、その後で多面力を求める。試力では渾円力を求め、一面力は求めないが、初めは一面力を集中して発し、その後で二面力、多面力、最終的には渾円力まで到る。力は試すことから生まれる。鋭角はどの方向からでも発力でき、爆発する。

82、断手(散手)の初歩的な四種類の打法:
(1) 大開門。 
(2) 閃中門。
(3) 虎抱頭。
(4) 猴象。鶏腿、龍身、虎抱頭、猴象を散打の中で運用する。散打は身体の操拳であり、実践である。

83、銼力は中銼、高銼、銼著栽、単手銼、双手銼に分かれる。

84、相手と打ち合う(推手)際には、抵抗しないのは間違いだが、絶対に抵抗するのも間違いである。攻守は一つであり、守攻も一つである。攻中に守があり、守には必ず攻があり、消極的な守ではならない。守中に攻があり、守と攻は一つの動作として行い、別々の一、二の動作としてはならない。閃打や退打を練習し、閃中に打ち、退くと同時に打つ。閃打を合一し、退打も合一する。

85、相手に接触した後の発力の変点は迅速でなければならない。発力は距離を掌握し、身体と手が相随う。伸手は前足の先を越えず、点の発力は適時を認識しなくてはならない。

86、光線は精神力である。

87、単推手や双推手で相手の力が強い場合、中心を利用し、重心を接触点に置く。上下左右前後、どこでも使え、自身を揺動させる。相手が直で衝突して(=撞)くる場合、左右に偏って衝突し、作用力を利用することができる。つまり、矛盾を利用して相手を撃つのである。手を合わせた後、重心を揺動させ、その揺動する中心を接触点や相手の特定部位、要所に置く。上下左右前後を揺動させれば、相手は対応できず、相手が受動的になれば進撃する。

88、力は功を打たず、功は力を打たない。相手と互いに打ち合うことを恐れてはいけない。

89、三つの準備をして初めて、相手に一撃を与えることができ、隙を見ることができる。一つ分の功夫しかなければ、外に出てはならない。

90、敵が直で来たなら、横を取る。横から来たら、鑽打する。

91、身体をばらばらにして、初めて整えることができる。極松になれば極緊になれる。極松がなければ、極緊はない。極松を体得すれば、気血と神意が通じ、周身が均整になる。動に似て動に非ずの中で人を打ち、発力する。

92、身法を使う際は、点を管しなければならない。身法を使いつつも、接触点を管理し、点を失わず、途切れさせない。少なくとも相手の両手を管し、重要なのは中節の腕(推手)を管することである。

93、推手では、鑽、裹、拧、横を忘れずに粘を利用する。竪、直、横、斜においても粘を重視する。そうすることでより動きがは洗練され、相手が逃げたり、点を滑らせたり、点を逃がさないようにできる。粘性、吞吐がなければならず、粘性がなければ吞吐を利用するのが難しい。粘はまず引くことが必要であり、相手が松であれば粘はできない。まず相手の勁を引き出し、勁を問い、二つの力点がぶつかる時に粘性を使う。そうすれば、鑽、裹、拧、横を使って周辺を突破し、中心を攻めることができる。

94、刀で相手を動かせない場合や、偏で相手を動かせない場合は、自分の身法を変える必要がある。相手が不動なら我は動く。正面を避け、側面を進撃する。力の小さい者が力の大きい者に対抗する際や、体の小さい者が体の大きい者に対抗する際に、この方法を取る。刀で動かせない、押し下げられない場合は、上に挂ける。下が上手くいかないなら上に行く。まずは拍打し、続いて刀や偏を使う。拍打、刀、偏を同時に使う。相手に随わず、一度随えば破体する。あなたは自身のやり方で打ち、我は自身のやり方で打つ。勢を見て勢を打ち、招を見て招を打つ。

95、側面からの攻撃が上手くいかないなら、中上を探る。中上が上手くいかないなら、上路を探る。上面が上手くいかないなら、側面から打を放つ。

96、大きな相手は放さず、「五臓」を震わせる。

97、中の中に拘ってはならない。中は、脊椎だけでなく、両脚の裏にもある。両脚の角度を変えることで、足裏でも守中することができる。

98、身体が動いても、手で点を支え(=頂)、方向を多様に変え、忽ち上へ、忽ち下へ、忽ち左へ、忽ち右に動く。相手に支点を利用されないようにする。相手が中を攻めるなら、円をかいてそれを破る。

99、相手が崩打してくるなら、こちらは円打を用いて、相手の進撃を支え開く(=撑開)。相手が高打してくるなら、偏刀によって反撃する。相手の身手が上にあり、容易に顔を打てる場合、手を翻して左右に打つ。実の力に直面した場合、その力を分散させる打法を取る。相手が直で来る場合は、左右から取る。

100、一般的に人々の発力は洗練されておらず、着相や執着に囚われている。搭手は、まるで自身が操作しているかのようである。人を打つ際には考えすぎず、自分が学んだことを相手に対して練習する。